次期海上幕僚長予想(答え合わせ)

 

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 上記記事において私は、次期海上幕僚長に32期から伊藤弘海将が命じられると予想していた。結果は3月11日に、30日付で勇退なさる山村浩海上幕僚長の後任に31期から酒井良海将を充てることが閣議で承認され、予想は外れた。

 私としては予想する際に、酒井海将も考慮に入れた。それは酒井海将海将に昇任してから、他の1選抜と比べてかなり早い昇進・異動を繰り返していたからである。また、ハーバード大学アメリカ海大指揮幕僚課程を経験して幕僚長に求められる英語力をクリアしていると十分に考えられるためである。特に海将昇任後の昇進が早い点に関しては、異様であった。部長級の中で海上幕僚長の候補者筆頭格は防衛部長(統合幕僚監部においては防衛計画部長)であるが、その後職は護衛艦隊司令官(飛行機乗りの場合は航空集団司令官・教育航空集団司令官)が通常である。しかし、酒井海将は防衛部長の後にそれよりも位の高い、大湊地方総監に補職されたのである。その後、さらに位の高いポストに1年毎に昇進・異動をし続けた。最終的に自衛艦隊司令官と給料上は同等の横須賀地方総監に任じられていた。このようなことが過去において無かったわけではない。近年では武居元海幕長も似たような経歴を辿っている(武居元海幕長の場合は大湊地方総監の後に給料上同格の海上幕僚副長に一旦横滑りしている点が異なる)。だが人事運用上は可能であっても頻繁に使用される手ではないことは確かである。

 人事的に海上自衛隊としては次期海幕長に酒井海将を見据えた動きをしていたにもかかわらず、私はこのまま人事ローテーション通り次期統合幕僚長に井筒空将が就くことを予想しているため、組織的に統合幕僚長の1つ下のポストである海上幕僚長に、井筒空将よりも年齢が高い酒井海将が内定するとは思えなかった。この点、確かに山崎統合幕僚長の下で、山崎陸将よりも年齢が高い湯浅陸将(当時)が陸上幕僚長に任命されたことがあった。私にとって、これは例外であって期別と年齢は同等に管理されると思っていたが、実態は期別の方が年齢よりも組織にとっては重要なものであったようだ。

 統合幕僚長ポストの人事ローテーションで言えば、次々期統合幕僚長海上自衛隊から輩出することになっている。この点に関しては上記予想記事において言及した。統合幕僚長の定年が62歳であることを考慮すると、井筒統幕長(予定)のあとに酒井海幕長(予定)が就くとは考えられないため、井筒統幕長(予定)の任期前半で海上自衛隊はその次の海幕長を選んでおく必要がある。ということは酒井海幕長の期間は昔のように2年弱くらいと現在よりも短いものとなる可能性が結構高い。そうならば、私の予想していた伊藤海将が時期はズレるものの海幕長の任に就くことも可能性として消滅したわけではない。

 何はともあれ、酒井海将海上幕僚長内定をお祝いし、山村海幕長の長年にわたる我が国へのご奉仕に感謝を申し上げて本記事を結ぶ。