【コラム】自衛隊員の扱われ方

 日増しに寒くなってきた今日この頃、会社の忙しさや気温の変化に対応できずに病気を患ってしまったことで、当ブログの更新が大分遅れてしまった。更新を待ちわびてくださった方々に対して、悔恨の念を抱いている。

 

 前回の記事から今日までに自衛隊の人事に関して様々な出来事があったが、特筆すべきなのは統合幕僚長の人事が陸空海ローテーションの慣例(統合幕僚会議議長の頃から考えると陸→陸もあり堂々と慣例と呼べるほどのものではない)を破ったことと、統合幕僚長としては初の一般大学(ただし東大)卒業者であったことだろう。山崎前統合幕僚長が長らく統合幕僚長の任に当たられており、不思議に思っていたがやっとその理由が分かったものだ。河野元統合幕僚長の任期が長くなったのは、安倍総理(当時)の信頼が厚かったことの他に、統合幕僚長予定者であった岡部陸上幕僚長イラク及び南スーダンへの海外派遣行動に関する日報問題で責任をとらされ辞任したことが大きいと考えている。山崎統幕長の時はそのような問題が無かったので何故だろうと訝っていた。山崎前統合幕僚長はロシア・ウクライナ紛争に応じてNATOとの連携に力を注がれていたため、関係構築の最中に辞することは難しかったと考えることもできるが、吉田陸上幕僚長(当時、30期相当)を統合幕僚長に登用することで、井筒航空幕僚長(当時、30期)が直ぐに勇退することを防いだという見方ができる。人事に関しては今月末くらいに大きく動くはずであるが、今回の予想は見送る。というのも、最近になって自衛隊がというよりも国家が、それに使え奉っている公務員に対して粗雑に扱っており、組織にとって最も大切な「人」という資産(主権者たる国民でもある)を、代えが利くモノであるかのように扱っているのではないかという疑念が生じ、人事予想を楽しむ気持ちになれないからである。本当は新設される統合司令官について、考えたりしたかったのだけれども。

 

 一昨日、こんな記事が出た(以下リンク先参照)。

 自衛隊官舎に関する記事であるが、とても人に対する扱い方ではない。家畜だと思っているのではないか、とすら思えてきた。自衛隊以外のいわゆる一般職公務員を想定したと思える記事が見つかったが、エアコン無し、トイレの換気扇無しという酷いものだった(以下リンク先参照)。

 自衛隊以外の公務員ですらこういう状況なのだから、それよりもタフに思われている自衛隊員はどのように扱われているか想像に難くない。そこで「防衛大学校 エアコン」「幹部候補生学校 エアコン」で調べてみたが、確定的な記事がみつからなかったため、それらについての言及は避けるが、日中の訓練等で疲れた身体にまともな休息を与えなければいずれ壊れる、という簡単なことがお偉い方や公務員を妬む方々には理解できないのだろう。使えなくなったら代わりを探せば良いというわけではない。一人前の隊員とするべく時間と金を注ぎ込んだわけで、それらが戻ってくるわけではないからである。もちろん、そんな薄情な組織に人は付いてこないだろう。

 

 防衛大学校の等松教授が防大における学問の軽視等を問題提起されたことは記憶に新しいが、学問に励まなければならないのは幹部候補生だけではない。自衛官を含むすべての公務員が、各人の自由ではあるものの、帰宅後に身体を休ませながらその日の反省や翌日以降の予習を行うべきなのは言うまでもない。仮に上記のような環境ならば、学ぶことはおろか、身体を十分に休ませることもままならないだろう。特に自衛官は一部を除いて住む場所が強制されるだろうから、上記記事のような劣悪な環境に押し込めるのは、一種のパワハラであろう。これまで上記記事のような隊舎または官舎に居住する現自衛官に及ぼすデメリットを挙げてきたが、上記のような記事によって自衛官の待遇が明らかになると、将来自衛官になりたいと思う優秀な人的資源が減少するだろう。それは防衛省自衛隊という組織、ひいては日本国家に悪影響を及ぼすのは言うまでもない。防衛費増額が確実視されているが、その配分の優先順位を間違っていないか?そう考える今日この頃である。