次期陸上幕僚長予想

 現在の吉田陸幕長(防大30期相当・東大)から陸幕長の直前ポストが各方面総監から陸上総隊司令官に変わった。陸上総隊自体新しい組織で過渡期ということもあり、断言はできないが、これを踏襲すると考えると、次期陸上幕僚長は陸上総隊司令官の前田忠男陸将(防大31期)と予想する。

 通常各幕僚長は2年程度在任する。定年は62歳だが、実際には60歳までに退役することが多い。これはおそらく、組織の新陳代謝統合幕僚長の定年も62歳であることが関係していると考える。後者を詳述すると、統合幕僚長は陸海空のいずれかの幕僚長を務めた後に任命される。統合幕僚長を2~3年務めることを考えると、その直前ポストである各幕僚長は57歳(相当早くて56歳)~58歳で任命されることとなる。そこから2,3年で60歳というわけである。

 次期陸上幕僚長に前田陸将を予想する理由としては、年齢や直前ポストの他に、①アメリカ留学を経験していること、②装備計画課長、第1空挺団長、防衛部長を歴任していることを挙げる。①のアメリカ留学であるが、各幕僚長の主要な任務に国際交流がある。ということは英語能力は必須と考えて良い。最近Twitter海幕長が米海軍長官を出迎えている動画が上がっていたが、流暢な英語で会話していた。他の幕僚長もこのように会話しているのだろうと想像できる。②で挙げた装備計画課長は第34代岩田陸幕長、第36代山崎陸幕長(その後第6代統幕長)が就任したことのあるポストであると共に、それを包含する装備部の部長ポストは第31代折木陸幕長(その後第3代統幕長)、第37代湯浅陸幕長が就任したことのある非常に重要な組織となっている。装備計画課は装備部の筆頭課であることを考えると、その課長ポストの重みも分かってくるのではないだろうか。第1空挺団長は言うまでもない。海・空と異なり人事・装備系が強い陸では防衛部長を経験することは陸上幕僚長になるための要件では無かったように思えるが、現在の陸幕長が防衛部にて培ってこられたことを考えると、組織のバランスに変化が生じたと考えられる。そういった点も理由に含められる。

 陸幕長就任の時期については2022年秋と予想する。