【主張】省庁大学校の格差

 私たちが入学するような普通の大学(東京大学慶應大学等)の他に、文部科学省の枠組みを超えた大学がある。それが省庁大学校であり、防衛大学校海上保安大学校などがある。防衛大学校防衛省所管で、海上保安大学校国土交通省所管である。警察庁所管の警察大学校省庁大学校の1つだが、ここは大学を卒業してキャリアとして採用された者や警部に昇進した警察官が通うところであり、今回私が議論したい高校卒業直後に通う大学校では無いため、議論の対象外とする。

 高校を卒業して入学し、公務員として給料を貰いながら通い、卒業する際に外部機関に申請し学位が貰える省庁大学校防衛大学校防衛医科大学校海上保安大学校気象大学校の4校である。防衛大学校は将来の幹部自衛官になるための教育施設で、防衛医科大学校は将来の医官・看護官になるための教育施設、海上保安大学校は将来の幹部海上保安官になるための教育施設、気象大学校気象庁の中核となることを目的に設置された教育施設となっている。

 今回私が問題視するのは、上で挙げた教育施設のうち、相対的に防衛大学校防衛医科大学校の給料の低いことである。上記4校の月額給料(期末手当等除く)を以下に記す。

防衛大学校防衛医科大学校:117,000円

海上保安大学校:150,600円

気象大学校:159,636円

 募集要項等を確認すると以上のようになっていた。気象大学校の給料には地域手当も含まれており、純粋な給料で見れば、海上保安大学校と同額となっている。ということは防衛大学校防衛医科大学校の学生が他2校に比べて安い給料で働かされていると言える。これは国が提唱する同一労働同一賃金の観点からしておかしいのではないだろうか。気象大学校防衛大学校と異なり体力錬成はしなくても良いだろうから仮に比較の対象外としたとしても、海上保安大学校では防衛大学校のような内容の取り組みが行われていると考えられるためである。防衛大学校では軍隊教育が行われているだろうから、海上保安大学校よりも辛いかもしれない。そのように考えると、海上保安大学校よりも給料が低いのはやはりおかしくて、むしろより高くても良いとさえ思える。しかし、どのように厳しいかは実際中を見て比べてみないと分からないので海上保安大学校よりも防衛大学校の給料を高くしろとまでは言わないが、やはりバランスを取ってほしい。

 他の学校は詳しく知らないが、防衛大学校は体育系のクラブに入ることが必須となっており、そこで半強制的な朝練や夜練、休日練などがあった場合、時間外手当などを考慮しなければならないかもしれない。それを抜きにしても、117,000円という給料水準が最低賃金以上なのか疑問である。もちろん公務員に労働基準法が適用されないことは知っている。しかしながら、公務員も人であり、民間よりも先に国が労働者の人権を大切にしていることを見せつけないと、示しがつかないのではないだろうか。

 もしも、防衛省の予算が少なくて以上のような事態に陥っているのだとすれば、背広組幹部も制服組幹部も省庁間の力関係で言えないだろうから、政治家が財務省に意見をしてほしいと思う。